花粉症の低年齢化について

近年、アレルギー性鼻炎患者、特に花粉症患者の増加がみられるようになりました。
特に発症が少ないといわれていた小児での花粉症増加が指摘されています1) 2)
15歳以下のアレルギー性鼻炎および気管支喘息患児において、スギの感作率は過去20年間で明らかに増加しており3)、 アレルギー外来小児におけるスギ花粉感作率は、15年前に比べ現在受診中の患者で有意に上昇しています4)

また、有病率、花粉への感作率の上昇だけではなく、喘息以外の各疾患はその重症度も過去に比べて悪化していたと報告されています1)

小児の花粉症が増加していますが、その診断は容易でありません。
その理由として、患児自らの訴えに乏しいこと、自ら受診の意思を決定できず症状の評価は保護者に委ねられるものの、 園や学校での日中の状態を把握しにくいこと、侵襲を伴うため、成人に比べ検査を実施しにくいことなどがあげられます。
そのため、問診による背景の把握や症状の評価、各検査などが重要になってきます。
今回は、適切な診断・治療の一助となる、あらかじめ知っておきたい情報をご紹介いたします。

1980年代までは、小児における花粉症は少ないと認識されていましたが、 最近、日常診療においても小児のスギ花粉症にしばしば遭遇します。
詳細な問診と特異的IgE検査などをうまく活用し、適切な診断・治療・指導を心がけることが重要です。

年齢と感作

特異的IgEの感作率が上昇する年齢は、花粉の種類によって異なります。
スギは2歳頃から始まり、3~7歳で感作率が急激に上昇します5) 6)
カモガヤはスギよりも上昇が遅く、6~10歳にかけて急激に上昇し、中学生以上では、 スギのみならずカモガヤにもアレルギー外来受診児の半数以上が感作されていたと報告されています6)
また、小児においては、花粉では珍しくカモガヤなどのイネ科花粉が原因のアナフィラキシー症例の報告7) 8)もあり、注意が必要な花粉です。
ブタクサは、カモガヤと同様の傾向を示すことが報告6)されており、2歳頃から感作率が上昇し9)感作率は30%弱と報告されています (図)6)

図 アレルギー外来における小児の年齢別抗原感作率

花粉飛散量と感作

スギ花粉の飛散量が多ければ感作率は高くなりますが、ある程度の花粉飛散量があれば一定の高い感作率を示します10)ので、 飛散量の多い年でなくとも注意する必要があります。
また、小児アレルギー性鼻炎の医療機関への受診率は55.5%と成人の47.4%より高くなっていますが、 一般的には軽症・QOLが悪化していない小児の花粉症は見逃される傾向にあり、 抗原回避をしないため感作が進行し、そのため成人になってからのQOL悪化につながってくる11)との指摘もあります。
このことから小児の段階で適切な治療をすることでQOLの低下をもたらす成人アレルギー性鼻炎への移行を抑制できる可能性があります。

アレルギー性鼻炎と他のアレルギー疾患との関連について

近年、アレルギー性鼻炎が関係する上気道と、アトピー性気管支喘息が関係する下気道を連続した一つの気道疾患と捉える “One airway, one disease”という概念が浸透しつつあります。
実際、アレルギー性鼻炎は気管支喘息との合併率が高いことが最近注目されており、 アレルギー性鼻炎を治療することが気管支喘息の発症予防につながるといわれています12) 13)
米倉らは、気管支喘息を新規発症した12例のうち10例ではアレルギー性鼻炎を先行発症していた14)と報告しています。

三重大学大学院 医学系研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学 教授 竹内万彦先生
  1. 1) Kusunoki T et al:Allergol Int 58:543-548, 2009
  2. 2) 馬場廣太郎 他:Prog. Med 28:2001-2012, 2008
  3. 3) 増田佐和子 他:アレルギー 47:1182-1189, 1998
  4. 4) 楠隆 他:アレルギー 53:1066-1070, 2004
  5. 5) 増田佐和子 他:アレルギー 49:1138-1145, 2000
  6. 6) 楠隆 他:アレルギー 48:1166-1171, 1999
  7. 7) 藤高道子 他:日本小児アレルギー学会誌 16:99-102, 2002
  8. 8) Tsunoda K et al:Allergy 58:955-956, 2003
  9. 9) 木村光明:アレルギー・免疫 13:1258-1262, 2006
  10. 10) Okamoto Y et al:Allergol Int 58:155-162, 2009
  11. 11) 大久保公裕:アレルギー・免疫 11:794-799, 2004
  12. 12) Corren J et al:J Allergy Clin Immunol 113:415-419, 2004
  13. 13) Price DB et al:Allergy 61:737-742, 2006
  14. 14) 米倉修二 他:日本小児アレルギー学会誌 25:81-84, 2011
資料提供:ファディア株式会社情報誌ALLAZiN2013Winter

今回ご紹介のアレルギー検査項目

項目コード 検査項目/名称 必要検体量
0114 9 特異的IgE (シングルアレルゲン) スギ new window 血清 0.3 mL
2026 9 特異的IgE (シングルアレルゲン) ヒノキ new window 血清 0.3 mL
0080 4 特異的IgE (シングルアレルゲン) ハンノキ (属) new window 血清 0.3 mL
0056 1 特異的IgE (シングルアレルゲン) カモガヤ new window 血清 0.3 mL
0063 5 特異的IgE (シングルアレルゲン) ブタクサ new window 血清 0.3 mL
0067 4 特異的IgE (シングルアレルゲン) ヨモギ new window 血清 0.3 mL

花粉症のお子様のためのセルフケアのポイント 監修: 増田佐和子先生 国立病院機構 三重病院 耳鼻咽喉科 医長

アレルギー性鼻炎・結膜炎の治療の柱は、セルフケアと薬物療法です。
原因アレルゲンを特定し、セルフケアにより除去・回避する必要があります。
また、お薬は、医師の指示通りに使用し、定期的に受診し治療を続けましょう。

見逃しやすいお子様の症状やしぐさに注意してください

くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目の充血・かゆみ、目やになど比較的わかりやすい症状に加えて、 下記の症状がみられる場合は花粉症(アレルギー)が発現しているのかもしれません。

  • 鼻づまりによるいびきや咳
  • 鼻や目をこすることによる皮膚の赤みや鼻出血
  • しぐさ:鼻をすする、目鼻をこする、まばたきが増える、口呼吸をしている

子どものセルフケア:吸入アレルゲンの除去・回避のポイント

症状を悪化させる要素をできる限り減らしていくことが大事です。

  • 規則正しい生活・バランスの良い食事:風邪などの疾患は花粉症・アレルギーを悪化させます。
  • 受動喫煙を最大限避ける:家庭内はもちろん、外出先でも。副流煙は危険な因子です。
  • 花粉情報の利用(テレビ・新聞・インターネット):外出時間の長さ・時間帯の調整をしましょう。マスク・ゴーグルも有効。
  • 鼻をすすらせず、かむ習慣を身に付けさせる:耳やのど・呼吸器へも悪影響を及ぼします。
    鼻かみの練習:2、3歳から、鼻水を見たら、その場で片方ずつ、根気よく。
  • 目や鼻をこすらせない:こする影響を減らせるよう、手の爪を短く切り、清潔にしておく。
  • 洗濯物や衣服に付いた花粉を家の中に入れないように気をつける。特に寝具・寝室・布系おもちゃ。
  • 帰宅時にはうがい・洗顔・鼻かみの3点セットをする。
  • 掃除は朝のうち、過ごす時間の長い場所を中心に。
  • 洗濯物は、花粉が原因なら外に干さない、室内塵なら外に干して掃除機をかける。
花粉の季節には

セルフケアと薬物療法をしっかり実施することで、 「勉強や遊びに集中できない」「外出・外遊びができない」「夜ぐっすり眠れない」 「食事に差し支える」「いらいらする」「しゃべりにくい」といった悪影響を軽くしていきましょう。

患者様へ配布頂けるセルフケアのポイントをまとめた「目と鼻のアレルギーのお子さんのための生活ガイド」は コチラ new windowから。
(◆アレルゲンに関するパンフレットやリーフレット◆の上から2番目になります)

資料提供:ファディア株式会社 new window