OASとは

OAS (oral allergy syndrome) は、口腔アレルギー症候群といい、近年注目されている疾患です。
原因食物を食べた後に口やのどにかゆみやイガイガ感を感じたり、 唇が腫れたりするもので、接触性じんましんと考えられています。
主に果物や野菜、木の実が原因で発症します。
花粉症やラテックスアレルギーに合併していることが多く、 これは、果物や野菜と、花粉やラテックスの間に共通抗原性があるためと考えられています。
前回紹介したハンノキ花粉症などカバノキ科花粉症の患者さんにOASを合併することが多いと報告されています。

鼻アレルギー患者におけるハンノキ花粉感作例の54.8%にOAS既往があり、 ハンノキ特異的IgE抗体価が高いほどOASの頻度が高いと報告されています2)
原因食物としてはリンゴ、モモ、メロンなどのフルーツが多く報告されています1)
特異的IgE抗体価が高くなる花粉飛散時期に症状が起こりやすくなりますので注意が必要です。

OAS問診のポイント

食べ物を食べて口や喉が痒くなったり、喉がイガイガすることはないかな?

成人に多く、症状が軽く気がつきにくいため、知らず知らずに摂取し、 重篤な症状を引き起こす可能性があります3)

OASの診断には、「果物や野菜を食べて口や喉が痒くなったり、喉がイガイガするようになったことはありませんか?」 など具体的に聞くことも重要となります。

大量のスギ花粉の飛散が予測される今シーズン、 口・唇・喉などに違和感のある患者さんにはスギ・ヒノキに加えて ハンノキ (属) やOASの発症の原因となる食物アレルゲンの測定もお勧めします。

あら、エッチツー?

今回ご案内する「Ara h 2 (アラエッチツー)」実はピーナッツに深く関係しています。

あら、h 2 (エッチツー) ではなく、Ara h 2と言います。
さて、この名称の意味は?

この本当の意味、Araは荒さん? いいえ、もちろん違います。
designates allergen number 2 from Arachis hypogaea、 つまりAra h 2は、落花生 (ピーナッツ) に含まれる多くのタンパク質のなかで、 2番目に命名されたものという意味です。

Ara h 2 (ピーナッツ由来) とは
  • ピーナッツアレルゲンコンポーネントの一つであり、 臨床症状発現と強い関係性が報告されています1,2)
  • ピーナッツ摂取によるアレルギー症状誘発リスクのある患者さんを 高い確率で選別することができるとされています2,3,4)
ピーナッツおよびAra h 2特異的IgE抗体価の分布4)
ピーナッツおよびAra h 2特異的IgE抗体価の分布
ピーナッツは食物アレルギーで重要な原因食物

ピーナッツは、即時型食物アレルギーの原因食物およびアナフィラキシーの原因食物として上位に位置づけられています5)。 ピーナッツは、最新の全国モニタリング調査では増加傾向にあります。
また、食品衛生法のアレルギー物質を含む表示による表示義務の指定を受ける重要な食物アレルゲンの1つです。

省令で表示を義務付けている特定原材料等の名称
ピーナッツアレルギーの特徴
  • 重篤な症状を起こします

    ピーナッツアレルギーでは、アナフィラキシーショックを含む多臓器にわたる重篤な症状が多いことが特徴です6)。 またピーナッツの症状誘発閾値は、タンパク量として100μg~1gと幅がありますが、 極微量でも症状を認める例も報告され7)触ったり吸入するだけでも症状を誘発することもありますので注意が必要です。

  • 耐性を獲得しにくいです

    小児の乳製品、卵、小麦、大豆アレルギーでは、成長と共に摂取可能となるケースが多い8,9)ですが、 ピーナッツやナッツなどは経年的な耐性が得られにくいと言われています。

  • 誤食を防ぐ指導が重要です

    ピーナッツは、加工食品など幅広く利用されており、微量でも症状を誘発することがあります。 そのため、ピーナッツアレルギーか否かを正しく知り、食品表示義務の読み取り方、誤食を防ぐための方法などの指導が重要となってきます。

特異的IgE (Ara h 2) (ピーナッツ由来) を診療フローに組み入れることで、より正確なピーナッツアレルギーの診断に有用です

ピーナッツアレルギー判定フローの目安
現在のピーナッツアレルギー診断フローにf423 Ara h 2 を加えることにより、 より精度の高い診断が可能となります
f423 Ara h 2を加えることにより 現在
血中特異的
IgE検査

f423 Ara h 2 は、臨床的特異度に優れており、f13 ピーナッツと組み合わせることで ピーナッツアレルギー診断の精度を向上します9)

f13 ピーナッツは、臨床的な感度は十分であるものの、臨床的特異度は十分でないと指摘されています。

食物経口
負荷試験

食物アレルギーの確定診断では、食物経口負荷試験がもっとも信頼性が高いとされていますが、 f423 Ara h 2 を加えることにより、危険を伴う食物経口負荷試験の実施を減少させることが可能となります8,9)

ピーナッツは、食物経口負荷試験での確定診断が難しい原因食物の一つです。 また、重篤な症状を誘発するアレルゲンであることから、明らかな既往歴がある症例に対する実施は推奨されていません。

診断・指導

f13 ピーナッツ陽性かつ f423 Ara h 2 の値が4.0UA/mL以上であれば ピーナッツアレルギーである可能性は極めて高いと言えます。 f13 ピーナッツとf423 Ara h 2 を組み合わせることで、 より精度の高い診断が可能となり、患者さんやその家族のQOL向上に繋がります。

問診より明らかな既往歴があり、f13 ピーナッツが陽性であれば、診断は確定し除去指導を行います。 現状の問題点としては、明らかな既往歴が不明なまま、 f13 ピーナッツが陽性だけの理由で除去指導が行われている例が少なくないことです。 そのため、ピーナッツの除去指導をされた患者さんや家族は、 微量のピーナッツ混入に怯えた食生活を送るなどQOL低下に繋がる可能性があります。

診断に際しては、摂取時の誘発症状や血液検査結果も併せて、 総合的に判断する必要があると考えられます。

参考文献
  1. 1) Int Arch Allergy Immunol 154, 216-226, 2011
  2. 2) J Allergy Clin lmmunol, 127, 684-685, 2011
  3. 3) Pediatric Allergy and Immunology 23, 573-581, 2012
  4. 4) 日本小児ア誌 27 (4), 621-628, 2013
  5. 5) Adv Food Nutr Res 62 : 139-171, 2011
  6. 6) 小児科 46 (6), 1008-1015, 2005
  7. 7) J Allergy Clin lmmunol, 110 (6), 915-920, 2002
  8. 8) アレルギー 55 (5), 533-541, 2006
  9. 9) 日本小児ア誌 16 (2), 144-148, 2002
資料提供 : ファディア株式会社 Ara h 2リーフレット (監修:国立病院機構 相模原病院 臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長 海老澤 元宏先生、 あいち小児保健医療総合センター内科部長兼中央検査部長 伊藤 浩明先生) より抜粋

あら、エッチツー? その2

今回もピーナッツアレルギーコンポーネント Ara h 2 (アラエッチツー) についてお送りします。

Ara h 2 (ピーナッツ由来) FAQ

Q1. f13ピーナッツ に代えてf423 Ara h 2の検査では問題ありますか?

A1. ピーナッツアレルギーの全例がf423 Ara h 2陽性となるわけではないので、お勧めできません。

また、承認された測定目的は 「イムノキャップの粗抽出ピーナッツアレルゲンに対する特異的IgE陽性患者におけるピーナッツアレルギーの診断補助」 であり、測定対象はf13 ピーナッツ 陽性症例 (0.35UA/mL以上) ということになります。

なお、報告9)によると、ピーナッツアレルギー患者の15%程度が f423 Ara h 2 陰性になると思われます。

Q2. f423 Ara h 2陽性 (4.0UA/mL以上) であればピーナッツアレルギーと診断してよいか。 また、陰性なら摂取可能と判断してよいですか?

A2. 承認された使用目的は 「粗抽出ピーナッツアレルゲンに対する特異的IgE陽性患者におけるピーナッツアレルギーの診断補助」で、 添付文書に記載された、「診断補助のための参考基準値」は承認申請に際して実施した 臨床性能試験の結果にもとづいて統計学的手法によって算出した参考値です。

f423 Ara h 2が4.0UA/mL以上であればピーナッツアレルギーである可能性は極めて高いと言えますが、 個別患者の最終的な診断は、あくまでも他の検査や臨床所見を含めた医師による総合判断で行って頂きます。

また特に、f423 Ara h 2 陰性例にピーナッツアレルギーが含まれることはQ1でも説明した通りです。 陰性だからといって摂取可能と判断することには大きなリスクがあります。

Q3. f423 Ara h 2検査陽性の参考基準値は?

A3. ファディア社での臨床性能試験の結果では、 臨床的特異度が概ね95%となるf423 Ara h 2の抗体価は4.0UA/mLであったため、 本製品の基準値は4.0UA/mLとしております。

ただし、PA、NPAともにピーナッツ陽性者を対象とした試験結果である点に注意する必要があります。
論文等での結果では、抗体価が異なる場合もありますが、 この違いは主に試験に用いた症例群の差に由来しております。

製品概要 イムノキャップ アレルゲンコンポーネント f423 Ara h 2 (ピーナッツ由来)
使用目的

粗抽出ピーナッツアレルゲンに対する特異的IgE陽性患者における
ピーナッツアレルギーの診断補助

参考基準値と
使用条件
陰 性:0.35UA/mL未満
疑陽性:0.35UA/mL以上 4.0UA/mL未満
陽 性:4.0UA/mL以上

イムノキャップ 特異的IgE f13 ピーナッツ陽性者 (0.35UA/mL) での試験結果によります。
判定には既存の特異的IgEで用いられるクラス (0~6) を使用しません。

ご存知でしたか? ナッツアレルギー
幅広いファミリーに分類されるナッツ類
写真:クルミ

植物学的にピーナッツは、マメ科であり、クルミ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツはそれぞれ別の科に分類されます。
アーモンドはバラ科の種実でリンゴやアンズの仲間に入りますが、 果肉ではなく、種を食べるという点でナッツ類に分類されます。

カシューナッツでは他のアレルギー疾患を併発せず、単独でアレルギーを認めるケースも多い特徴があります**)
ナッツアレルギーは、ナッツ類としてひとまとめにせず、個別に診断する必要があります。

**:アレルギー 56 (8,9),223,2007 資料提供 : ファディア株式会社 Ara h 2リーフレット (監修:国立病院機構 相模原病院 臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長 海老澤 元宏先生、 あいち小児保健医療総合センター内科部長兼中央検査部長 伊藤 浩明先生) より抜粋

Ara h 2? その3

ピーナッツのアレルゲンコンポーネントであるAra h 2 (アラエッチツー)、 今回はピーナッツアレルギーをはじめ、食物アレルギー診療に長年取り組まれておられる、 国立病院機構相模原病院の海老澤元宏先生、 あいち小児保健医療総合センターの伊藤浩明先生にお話を伺いました。

Q1. ピーナッツアレルギーの特徴について教えて下さい

写真
海老澤先生

ピーナッツは即時型食物アレルギーの中でも重篤な症状を誘発しうる代表的な原因食品です。

日本では即時型アレルギーを起こす原因食品として上位に位置付けられており1)、 同時にアナフィラキシーを起こすケースも多く報告されています。

米国ではピーナッツは4歳以降の食物アレルギーの中で最も頻度が高く2)、 食物アナフィラキシーによる死亡の主因であり3)、ピーナッツアレルギー患者の79%が 皮膚・呼吸器・消化器など多臓器症状を経験し、6%は意識障害にまで至るようです4)

我々食物アレルギー診療に携わる者の見解としては、 日本人のピーナッツアレルギーの重症度は欧米と相違ないと考えております2)
日本でもピーナッツアレルギーは増加傾向にあるため、患者さんに対してきめ細かい対応を進めるべきです。

Q2. ピーナッツアレルギー患者さんの予後、QOLについて教えて下さい。

写真
伊藤先生

ピーナッツアレルギーを他の卵・牛乳・小麦といった即時型アレルギーと比較した場合、 大きく異なるのが非常に耐性を獲得しにくいという点です。 治療の原則は他のアレルゲンと同様に除去、回避が第一優先ですが、 ピーナッツは極微量の摂取で重篤になることも多く、特に誤食には気を付けなければなりません。

ピーナッツは日本でも食品衛生法により、表示が義務付けられている食品ですが、 患者さんの66%は5回以上の誘発症状を経験しており4)、 加工食品中に混入したアレルゲンを回避しきれない現実があります。

具体的にはカレールーやコンビニのサンドイッチ、クレープ、チョコレートなどが挙げられ、 なかには製造ラインでのコンタミネーションが原因と思われる事例もありました3)
患者さんの半数でピーナッツ蛋白3mg (ピーナッツ1/50に相当) と極微量で症状誘発を認めるという報告や5)、 ピーナッツの食べ殻を含む室内塵での症状誘発も確認されています。

このようにピーナッツアレルギーの患者さんは、潜在的に致死的な症状に見舞われる強い恐怖感と向き合って生活しており、 そのQOLは、1型糖尿病患児よりも障害されているとの報告もあります6)

Q3. 今回製品化されたイムノキャップアレルゲンコンポーネント f423 Ara h 2 (ピーナッツ由来) (以下 f423 Ara h 2) の有用性は、どのような点にありますか?

海老澤先生

従来のピーナッツ粗抽出アレルゲンを原料とするイムノキャップ特異的IgE f13ピーナッツ (以下f13ピーナッツ) には、 実際にピーナッツにより症状が誘発される患者さんを陽性として高頻度に検出できるものの、 本来症状が誘発されない患者さんまで陽性に検出してしまう場合が少なくない、という課題があります。

つまりf13ピーナッツ検査結果が陽性でも実際はピーナッツ摂取可能な例が存在しますが、 確実な診断を行うには経口負荷試験を実施せざるを得ません。
ただ、ガイドラインでも原則としてリスクのある経口負荷試験は推奨しておらず、 実際には、明らかな症状既往と特異的IgE陽性をもって診断していらっしゃる先生方も多いのではないでしょうか。

一方、Ara h 2はピーナッツ主要抗原の一つで、f423 Ara h 2特異的IgE検査は臨床的特異度が高く、 本来症状が誘発されない患者さんの多くが陰性になるという特色があります。
そこでf13ピーナッツと併用することで、検査の感度を保ちつつ特異度を向上させる事が可能です (図2.)。

我々の検討結果では、危険をともなうピーナッツの経口負荷試験を半分近く回避できることが示唆されました7)。 これは患者さんにとっても大きなメリットと言えます。

Q4. 従来のf13ピーナッツとf423 Ara h 2特異的IgE検査は具体的にどのように使用すれば良いでしょうか?

伊藤先生

まず充分な問診を通してピーナッツアレルギーが疑われる患者さんには、f13ピーナッツを検査します。
その抗体価が0.35UA/ml未満であれば、ピーナッツアレルギーである可能性は低く、 50UA/ml以上ならピーナッツアレルギーと診断して良いでしょう。

次に抗体価が0.35UA/ml以上50UA/ml未満の場合、f423 Ara h 2を検査します。
そしてf423 Ara h 2の抗体価が4.0UA/ml以上であればピーナッツアレルギーと診断し、 0.35UA/ml以上4.0UA/ml未満であれば、十分な監視下での経口負荷試験が必要になります。 (図2)

ここで気を付けて頂きたいことが3点程あります。
まず第一に、我々の検討の結果ではピーナッツアレルギー患者さんの15%程度が f423 Ara h 2 陰性になることを確認しています。
Ara h 2は非常に有用な検査ですが、決して万能ではありません。 丁寧な問診を心がけ、総合的にアレルギーの有無を判断して下さい。

次に、このf423 Ara h 2を実施する際は、必ずイムノキャップ特異的IgE f13ピーナッツの抗体価を基準に行って下さい。
なぜならばこの判定フローはイムノキャップの検査結果を基に作成されており、 他の試薬と抗体価に互換性がないからです。

最後に、f423 Ara h 2陽性の基準値について、我々の試験結果では4.71UA/mlとなりましたが、 今回発売された試薬の基準値は4.0UA/mlとなっています。
この値はファディア社の臨床性能試験結果によるもので、この違いは主に試験に用いた症例群の差に由来しています。

以上の点にご留意頂きながら、進化する血液検査を上手に活用することで、 ピーナッツアレルギーの診断がより安全かつ正確に行われることを期待しています。

図1) ピーナッツおよびAra h 2特異的IgE抗体価の分布7)
ピーナッツおよびAra h 2特異的IgE抗体価の分布
図2) ピーナッツアレルギー判定フローの目安
ピーナッツアレルギー判定フローの目安
参考文献
  1. 1) Akiyama H et al : Advances in Food and Nutrition Research Volume62 : Japan Food Allergen Labeling Regulation-History and Evaluation : 140-171, 2011
  2. 2) llli S, et al : J allergy Clin immunol 108 : 709-714, 2001
  3. 3) 伊藤浩明 小児科2005 : Vol46 : 6
  4. 4) Sicherer SH, Munoz-Furlong A, Sampson HA : prevalence of peanut and tree nut allergy in the United States determined by means of a random digit dial telephone survey : A 5 year follow-up study. J Allergy Clin Immunol 112 : 1203-1207, 2003
  5. 5) Wensing M et al : The distribution of individual threshold doses eliciting allergic reaction in a population with peanut allergy. J Allergy Clin Immunol 110 : 915-920, 2002 
  6. 6) Avey NJ et al : Assesment of quality of life in children with peanut allergy. Pediatr Allergy Immunol 14 : 378-382, 2003
  7. 7) 海老澤元宏 他 : 日小ア誌27 : 621-628, 2013
(ファディア株式会社発行ALLAZiN Live 2014summerより転載)

受託要綱

項目コードNo. 6504 9
検査項目名 特異的IgE (Ara h 2) (ピーナッツ由来) new_window
略語 F423
検体量 血清 0.3 mL
容器 X (ポリスピッツ)
保存方法 冷蔵保存してください。
所要日数 2~4 日
検査方法 FEIA
基準値 (単位) 陰性 0.35 未満 (UA/mL)
実施料 110点 (「D015」血漿蛋白免疫学的検査「11」)
判断料 144点 (免疫学的検査)
備考

特異的IgEピーナッツ new_window の陽性者が対象です。判定基準は下記をご参照ください。

特異的IgE (Ara h 2) (ピーナッツ由来) (判定基準)
判定 特異的IgE抗体価 (UA/mL)
陽性 4.00 以上
疑陽性 0.35 ~ 3.99
陰性 0.35 未満

本項目の検査結果判定には、特異的IgE (シングルアレルゲン) に用いるようなクラス判定はございません。

関連検査項目
特異的IgE (シングルアレルゲン)
項目コード 検査項目/名称 必要検体量 (mL)
0102 9 ピーナッツ new window 血清 0.3
特異的IgE (C-PAC16アレルゲン)
項目コード 検査項目/名称 必要検体量 (mL)
6187 0 小児用 new window 血清 1.8
6188 7 アトピー性皮膚炎用 new window 血清 1.8
特異的IgE (C-PAC5アレルゲン)
項目コード 検査項目/名称 必要検体量 (mL)
6190 4 小児除去食用 new window 血清 0.6

食物アレルギーを取り巻く世の中の動き

文部科学省は、今後の学校給食における食物アレルギー対応に関する最終報告書を取りまとめ、 各都道府県教育委員会などへ通知を行いました。

今後の学校給食における食物アレルギー対応について(通知) new window

平成25年度に文部科学省が実施した実態調査の結果などから、 児童生徒の食物アレルギーは4.5%(平成16年時の1.7倍)、アナフィラキシーの既往0.5%(同3.6倍)、 「アドレナリン自己注射薬(エピペン®登録商標)」保持者0.3%と、 これまでの調査に比して非常に増加していることが明らかとなりました。

その一方で、学校への申出があった児童生徒のうち、 学校生活管理指導表 new window 等の医師の診断書の提出があった割合は、 食物アレルギー20.4%、アナフィラキシー36.4%、「エピペン®」保持者30.3%と、非常に低い値でした。

特定原材料

さて、消費者庁は平成25年9月20日、「アレルギー物質を含む食品に関する表示について」通知し、 特定原材料に準ずるもの(推奨品目)として、新たにカシューナッツとゴマの2品目を追加すること(全27品目)を定め、 2014年8月31日までに表示をするよう求めました。

食物アレルギーのQ&A 監修:伊藤 節子 先生 日本アレルギー学会 専門医 (小児科)、指導医 (小児科)
日本小児アレルギー学会 理事
同志社女子大学生活科学部食物栄養科学科 教授

食物アレルギーの治療は、正しい原因アレルゲンの診断に基づく必要最小限の食品除去です。
正しい原因アレルゲンの診断を行う上でまず必要なのは詳しい問診とアレルゲンによる感作状態 (=抗原特異的IgE抗体価) の把握です。

さらに食物経口負荷試験陽性を確認し、治療としての食品除去を開始します。
食品除去の目的はいつまでも除去を続けることではなく、 早く、症状をおこすことなく「食べること」ができるようになることです。

耐性の獲得の確認、あるいは摂取可能量の確認のための負荷試験を行う時期の決定にも感作状態の把握が参考になります。
アレルゲンコンポーネントタンパク質レベルでの測定はまだ項目が限られていますが、食事指導を行う上で有用な情報が得られます。

Q 検査結果が陽性の食物はほんとうに食べられないのでしょうか?

A 血液検査の結果が陽性であっても、必ずしもその食物がアレルギー症状の原因であることを表してはいません。 特異的IgE抗体価が高い場合、食べると症状が誘発される可能性は高くなりますが、 すべての人に症状がでるわけではありません。
最終的には食物経口負荷試験などで医師が総合的に診断します。 自己判断による食物の除去はやめましょう。

Q 食物アレルギーの治療方法は?

A 「食べること」を目指した必要最小限の原因食物の除去が食物アレルギー治療の基本です。
「必要最小限の除去」とは、食べると症状が誘発される食物だけを除去することで、必要以上の除去は禁物です。 また原因食物でも、症状が誘発されない“食べられる範囲”を決めて計画的に食べていくことができます。
「食べること」を目指した治療は、必ず医師の指導のもとに行いましょう。

Q 「食物除去」っていつまで除去するのでしょうか?

A 乳幼児期にアレルギーを起こしやすい卵・牛乳・小麦は、 成長とともにだんだん食べられるようになる場合が多く、個人差はありますが、 3歳までに50%、6歳までに80-90%が食べられるようになります。
定期的に受診し、検査結果を参考に医師と相談しながら食べられる食品を増やしていきましよう。

Q 日常生活での注意点を教えてください

A 

  • 加工食品の特定原材料アレルギー表示をチェック

    除去するときは、除去食物だけでなく、その食品が含まれている加工食品にも注意する必要があります。
    特定原材料の表示が義務付けされている7品目と、表示を推奨されている20品目がありますが、 7品目以外は表示義務がないため、加工食品に含まれていても表示されない可能性があること、 原材料表示は容器包装されたものが対象で、 外食メニューや弁当・惣菜などの店頭での対面販売では表示されないことがある点に注意が必要です。

  • 外食や帰省・友人宅へのおでかけ

    外食メニューには原材料アレルギー表示の義務はないので、事前にレストランに確認しましょう。
    おでかけの際は、訪問先に食物アレルギーであることを伝え、除去食について理解してもらいましょう。 状況によっては、普段食べている安全な食品を持参するなどの工夫が必要となることもあります。
    誤食時の対応として事前に主治医とよく相談して内服薬やエピペン®などを携帯し、 発症した場合に備え、近隣の救急病院をチェックしておきましょう。

  • 園・学校が楽しい学び・育ちの場となるように

    ママのもとを離れ、新しい生活環境ヘ歩み出す初めの一歩。安心して送り出したいものです。
    園や学校での生活が始まる前に、食物によってアレルギー症状が起こることを先生方に理解してもらうことが大切です。
    除去食を行っている場合は、園・学校でも除去食が必要になるため、主治医にアレルギー生活管理指導表への記入を依頼し、 園・学校に提出して、除去食対応について相談し、環境の変化に備えましょう。

  • アレルギー物質を含む食品の表示

    平成25年9月20日から、『特定原材料に準ずるもの』に、「ごま」「カシューナッツ」が追加され、 『特定原材料』7品目と合わせ、現在27品目が指定されています。

    特定原材料
    使用の際、表示が義務付けられる7品目
    小麦、そば、卵、乳、落花生、えび、かに
    特定原材料に準ずるもの
    使用の際、表示が推奨される20品目
    あわび※、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、 さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ※、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナ
    ※血液検査の項目にはありません
提供:ファディア株式会社

関連検査項目

特異的IgE (シングルアレルゲン)
項目コード 検査項目/名称 必要検体量 (mL)
0100 4 卵白 new window 血清 0.3
1684 7 卵黄 new window 血清 0.3
2699 1 オボムコイド new window 血清 0.3
0099 5 牛乳 new window 血清 0.3
1689 3 チーズ new window 血清 0.3
1687 9 カゼイン new window 血清 0.3
1685 4 α-ラクトアルブミン new window 血清 0.3
1686 1 β-ラクトグロブリン new window 血清 0.3
2459 1 モールドチーズ new window 血清 0.3
0143 8 小麦 new window 血清 0.3
2456 0 グルテン new window 血清 0.3
6368 3 ω-5グリアジン* new window 血清 0.3
0587 3 ソバ new window 血清 0.3
0102 9 ピーナッツ new window 血清 0.3
0113 1 エビ new window 血清 0.3
0112 4 カニ new window 血清 0.3
0109 0 大豆 new window 血清 0.3
6183 1 クルミ new window 血清 0.3
6369 1 カシューナッツ new window 血清 0.3
0586 6 ゴマ new window 血清 0.3
1683 0 リンゴ new window 血清 0.3
2452 1 モモ new window 血清 0.3
1691 1 キウイ new window 血清 0.3
2427 1 バナナ new window 血清 0.3
0573 9 オレンジ new window 血清 0.3
6182 3 ヤマイモ new window 血清 0.3
6134 1 イクラ new window 血清 0.3
0585 9 サケ new window 血清 0.3
0839 1 サバ new window 血清 0.3
2043 8 イ力 new window 血清 0.3
1690 3 鶏肉 new window 血清 0.3
1681 5 牛肉 new window 血清 0.3
0580 2 豚肉 new window 血清 0.3
2431 2 ゼラチン new window 血清 0.3
*:ω-5グリアジンは小麦タンパクの成分のひとつです。

小麦アレルギー

石けんやシャンプーには、泡立ちやしっとり感などのために小麦成分が入った商品もあります。
2010年10月に厚生労働省から 「 小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品による全身性アレルギーの発症について new window」 という注意喚起が出ています。
このような商品を使用して、体に異常が出た場合は使用を中止するよう呼びかけています。

小麦アレルギーの方には、小麦を含む成分を食べた後に運動すると、 アナフィラキシーを起こすことがあります。
これは、食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA:Food Dependent Exercise Induced Anaphylaxis) と呼ばれています。

小麦を原料とする成分が入った化粧品や石けんを使ってアレルギー症状が疑われる場合には、 小麦・グルテンのアレルゲンの測定をおすすめします。
また、FDEIAが疑われる場合は、小麦のコンポーネントのひとつである ω-5 グリアジンの測定も併せて実施してください。
ω-5 グリアジンは小麦よりFDEIAの特異性が高いといわれています。

日本アレルギー学会ホームページにおいても、 診断基準が発表となっておりますのでこちらもぜひ、ご参照ください。

茶のしずく石鹸等に含まれた加水分解コムギ (グルパール19S) による
即時型コムギアレルギーの診断基準 (2011.10.11 委員会作成) PDF

ω-5 グリアジン

グリアジンは小麦タンパクの成分のひとつです。

資料提供:ファディア株式会社

小麦は、可溶性タンパクと不溶性タンパクにわけられ、不溶性タンパクはグルテンと呼ばれます。
グルテンには、グリアジンが多く含まれますがグルテニンも含まれています。
このグリアジンは、さらに、α、β、γ、ωとわけられ、 そのひとつが「ω-5 グリアジン」です。
この小麦成分の中でも「ω-5 グリアジン」が重要なのは、 小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA) の責任アレルゲンのひとつとして、 同定されたものだからです。
通常の即時型小麦アレルギーにおいても、特に臨床的特異度が優れていることが報告されています。
即時型小麦アレルギーにおいては、小麦アレルギーと診断された群 および小麦に対する特異的IgE抗体が陽性で小麦負荷試験が陰性の患者群を対象として ω-5 グリアジンの特異的IgEを測定した結果、ω-5 グリアジンに対する特異的IgEでは、 小麦アレルギー群で約80%が陽性を示し、非小麦アレルギー群では ほとんどが陰性または低値を示したと報告されています。
この結果から、ω-5 グリアジン特異的IgEの測定は、小麦に対する特異的IgE測定と併用することで、 小麦摂取時の即時型アレルギーの診断に有用であると考えられます。

食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
(Food Dependent Exercise Induced Anaphylaxis)
: 食物摂取後の運動により惹起されるアナフィラキシーです。
アレルゲンとなる食物を摂取しただけでは起こりませんが、 食べ物と運動の組み合わせが引き金となって症状が誘発されます。
原因食物としては小麦が最も多く、他にエビがあります。

2012年2月の厚生労働省医薬食品局発信 「 医薬品・医療機器等安全性情報No.288 new window」 には、小麦を含有する食品を摂取した後に運動するとアナフィラキシーを発症するFDEIAの症例が紹介されています。

花粉との関連が報告されている食物

花粉との関連が報告されている食物

キウイはカモガヤやヨモギとの関連が報告されています。
またアレルギーの原因食物としても第9位に位置します。
他にも熱を加えても抗原性が変わらないセロリ、 スイカ・モモなど夏の果物もありますので、春以外にも注意が必要です。

OASに関連する原因花粉と植生の食物リンクはこちら new window

アレルゲン別診療カレンダー

アレルゲンカレンダー

OAS関連検査

項目コード 検査項目/名称 必要検体量
6189 4 特異的IgE
(C-PAC16アレルゲン)
鼻炎・喘息用 new window 血清 1.8 mL
0080 4 特異的IgE
(シングルアレルゲン)
ハンノキ (属) new window 血清 0.3 mL
0114 9 スギ new window 血清 0.3 mL
2026 9 ヒノキ new window 血清 0.3 mL
0056 1 カモガヤ new window 血清 0.3 mL
0059 3 オオアワガエリ new window 血清 0.3 mL
0063 5 ブタクサ new window 血清 0.3 mL
0067 4 ヨモギ new window 血清 0.3 mL
1683 0 リンゴ new window 血清 0.3 mL
2452 1 モモ new window 血清 0.3 mL
1694 2 メロン new window 血清 0.3 mL
0571 4 トマト new window 血清 0.3 mL
6184 8 スイカ new window 血清 0.3 mL
1691 1 キウイ new window 血清 0.3 mL
1692 8 セロリ new window 血清 0.3 mL
0572 1 ニンジン new window 血清 0.3 mL
0053 0 IgE (非特異的IgE) new window 血清 0.3 mL
C-PAC16 鼻炎・喘息用 構成項目:
ハンノキ (属) 、スギ、ヒノキ、ヤケヒョウヒダニ (ダニ1) 、 カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、ネコのフケ、イヌのフケ、カンジダ、ハムスター上皮、 アスペルギルス、アルテルナリア、ガ、ユスリカ (成虫)、ゴキブリ
資料提供:ファディア株式会社

参考

  1. アレルギーの領域5 (6) 761-765, 1998
  2. 松倉節子 他 : アレルギー・免疫 17 (6) : 1031-1038, 2010
  3. アレルギー・免疫 8 (8) : 837-844, 2001

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