モニタリングマーカー WT1 mRNA

こんにちは、Club SRL 武内優子です。

末梢血又は骨髄液のWT1 mRNA発現量は、AML (急性骨髄性白血病) 患者における MRD (微小残存病変) のモニタリングマーカーとして、再発の早期発見に有用といわれています。 また、MDS (骨髄異形成症候群) 患者における診断補助及び 進行度モニタリングマーカーとしても保険適用になってから4年目を迎えます (平成23年8月1日適用)。

今回は、武内がずっとご紹介したかったWT1 mRNA検査について、 WT1検査に情熱を注がれている平原 (ひらばる) さん (大塚製薬株式会社) とともにお送りします。

診断補助におけるWT1 mRNA

WT1 mRNAはMDSの病期進行にともない発現量が上昇することから、 MDSの進行度モニタリングマーカーとして有用といわれていますが、 診断補助におけるWT1 mRNAの意義について教えてください。

MDSの中でもRA (不応性貧血) は、AA (再生不良性貧血) との鑑別が難しいことがあるといわれています。 その場合、以下のカットオフ値を用いることにより、RAの鑑別診断の補助とすることができると考えられます。(図1)

図1

AAにおける末梢血WT1 mRNAは検出限界未満であったのに対し、 MDSにおいては検出されることが多いことは、他の報告においても示されています。(図2)

図2

これらのことから、末梢血WT1 mRNAが陽性 (50copies/μgRNA以上) の場合は、 AAではなく、RAである可能性が高いといわれています。

しかしながら、臨床診断においては血液像、骨髄像や染色体異常など他の検査所見及び臨床症状等を含め、 総合的な判断をしていただきたいと考えています。

低形成性MDSで顕著な形態異常が認められない場合は特にAAとの鑑別が困難になるとのことですが、 WT1 mRNAの測定のメリットはなんでしょうか。

特に末梢血WT1 mRNAにおいて、低形成性RAとAAの鑑別補助の意義が示唆されています。(図3)

採取した骨髄の箇所がたまたま低形成であっても、別の箇所では正~過形成ということもありえるので、 末梢血を検体として診断補助ができるのはよいことと考えられます。 骨髄液よりも採取における侵襲が少ない末梢血で検査ができる、ということは、 患者さんにもメリットがあるといえるでしょう。

図3

WT1 mRNA発現量はMDSの予後とどのような関係にありますか。

WT1 mRNA発現量とIPSSやWPSSなどの予後分類との相関性が報告されています。
また、高発現量群ほど生存期間が短く、AMLへ移行する期間が短いことが示されています。(図4)

図4

さらに既存のリスク分類をWT1 mRNAの発現レベルによってさらに層別化できることが海外において報告されています。(図5)

図5

初診時から随時WT1 mRNAを測定することがとても大切なのですね。

資料提供:大塚製薬株式会社

受託要綱

受託要綱

検体は採血後、当日中にご提出ください。

保険算定上の条件

WT1 mRNAは、リアルタイムRT-PCR法により、 急性骨髄性白血病又は骨髄異形成症候群の診断の補助又は 経過観察時に行った場合に1月に1回を限度として算定できる。