血清の判定基準
[5140-5,5139-5]ムンプスウイルス
[5142-0,5141-2]麻疹ウイルス
[5138-8,5137-1]風疹ウイルス
[5132-4,5131-7]水痘・帯状ヘルペスウイルス
[5134-9,5133-1]サイトメガロウイルス
| 判定 | IgM (抗体指数) | IgG (EIA価) |
|---|---|---|
| - | 0.80未満 | 2.0未満 |
| ± | 0.80~1.20 | 2.0~3.9 |
| + | 1.21以上 | 4.0以上 |
ウイルス抗体検査の特徴
| 検査方法 | 原理 | 特徴 |
|---|---|---|
| 補体結合反応 (CF) | 抗原抗体複合体と結合した補体を感作血球の不溶血を指標として間接的に証明します。 |
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| 赤血球凝集抑制反応 (HI) | 赤血球凝集能を持つウイルスの場合,その凝集を抑制する抗体を証明します。 |
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| 蛍光抗体法 (FA) | 感染細胞中のウイルス抗原と抗体との反応を蛍光標識抗体で証明します。 |
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| 中和反応 (NT) | 活性ウイルスを抗体により中和させ,感染防御抗体を証明します。 |
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| 酵素免疫法 (EIA) | 固相化したウイルス抗原と抗体を反応させ,酵素標識抗体との反応により証明します。 |
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| 受身 (粒子) 凝集反応 (PA) | 固相化ゼラチン粒子にウイルスを吸着させ,これに抗体を反応させ,凝集の有無により証明します。 |
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| ウエスタンブロット法 (WB) | 転写膜に分画された抗原タンパクのバンドと特異的に反応する抗体を検出します。 |
|
検出抗体の性質
| 性質 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 動態 | 抗ウイルス抗体活性 | 補体結合能 | 胎盤移行性 | ||
| 抗体 | IgM | 早期に産生されるが短期間で消失 | + | + | - |
| IgG | IgMに遅れて出現。漸減しながら長期間持続 | + | + | + | |
| IgA | IgMより多少遅れて出現するがIgMより長期間検出可能 | + | - | - | |
抗体価の解釈とペア血清検査の意義
ウイルス血清抗体価に正常値という概念はありません。ウイルス感染後に産生される抗体の検出は,過去にそのウイルスに感染したことを回顧的に示すだけで,現在の状態を必ずしも反映してはいません。
ウイルス抗体は感染の直後に高く,以後下降するパターンを示しますが,単一の血清の抗体価の高低だけで近い過去に感染があったかどうかの判定は出来ない場合が多いといえます。
ウイルス感染後の抗体応答パターン,各検査法の特徴,検査意義を理解し,目的に応じた検査法を選択する必要があります。
急性期 (発病後早期)と回復期 (発病後14~21日)のペア血清の抗体価が4倍以上上昇した場合有意と判断しそのウイルスの感染を推定します。ただし,治療にγグロブリンを投与した場合の抗体価の上昇は,必ずしも有意とは考えられません。
目的別検査法選択のめやす
検査法の特徴により目的に合った検査の選択が必要です。自然感染では感染初期に応答するIgM抗体の検出やペア血清による抗体上昇をみることが有用です。
また,既往の有無やワクチンの効果判定にはEIAによるIgG抗体の検査が有用です。
| 自然感染 | 既往の有無 | ワクチン効果判定 | |
|---|---|---|---|
| 麻疹 | HI,NT,EIA (IgM) (IgG) | NT,EIA (IgG) | HI,NT,EIA (IgG) |
| 風疹 | HI,EIA (IgM) (IgG) | HI,EIA (IgG) | HI,EIA (IgG) |
| ムンプス | CF,HI,NT,EIA (IgM) (IgG) | EIA (IgG) | NT,EIA (IgG) |
| 水痘 | CF,EIA (IgM) (IgG) | EIA (IgG) | IAHA,EIA (IgG) |
| ポリオ | NT | NT | |
| 日本脳炎 | HI,CF | HI | |
| インフルエンザ | CF,HI | HI |
ウイルス抗体価 (定性・半定量・定量)
同一検体についてウイルス抗体価の測定を行った場合は,8項目を限度として算定する。
ウイルス抗体価は,治療上必要な場合に行うものとし,次に掲げるものを該当検査の対象とする。
(1) アデノウイルス (2) コクサッキーウイルス (3) サイトメガロウイルス (4) EBウイルス (5) エコーウイルス (6) ヘルペスウイルス (7) インフルエンザウイルスA型 (8) インフルエンザウイルスB型 (9) ムンプスウイルス (10) パラインフルエンザウイルスI型 (11) パラインフルエンザウイルスII型 (12) パラインフルエンザウイルスIII型 (13) ポリオウイルスI型 (14) ポリオウイルスII型 (15) ポリオウイルスIII型 (16) RSウイルス (17) 風疹ウイルス (18) 麻疹ウイルス (19) 日本脳炎ウイルス (20) オーム病クラミジア
ウイルス抗体価 (定性・半定量・定量) にあたって,同一検体について同一ウイルスに対する複数の測定方法を行った場合であっても,所定点数のみを算定する。
単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価を測定した場合はそれぞれ算定できる。
グロブリンクラス別ウイルス抗体価
同一検体について,グロブリンクラス別ウイルス抗体価の測定を行った場合は,2項目を限度として算定する。
グロブリンクラス別ウイルス抗体価は,下記の項目のウイルスのIgG型ウイルス抗体価又はIgM型ウイルス抗体価を測定した場合に算定する。
ただし,(7) のヒトパルボウイルスB19は,紅斑が出現している妊婦について,このウイルスによる感染症が強く疑われ,IgM型ウイルス抗体価を測定した場合に算定する。
(1) ヘルペスウイルス (2) 風疹ウイルス (3) サイトメガロウイルス (4) EBウイルス (5) 麻疹ウイルス (6) ムンプスウイルス (7) ヒトパルボウイルスB19
同一ウイルスについてIgG型ウイルス抗体価及びIgM型ウイルス抗体価を測定した場合にあっては,いずれか一方の点数を算定する。
ウイルス抗体価 (定性・半定量・定量) と併せて測定した場合にあっては,いずれか一方の点数を算定する。
ウイルス抗原検査の特徴
| 検査方法 | 原理 | 特徴 |
|---|---|---|
| シェル・バイアル法 | シェル・バイアル (円筒形容器) 内のスライドグラスに感受性細胞を培養し,検体を接種した後遠心操作を行う。 24~48時間培養後に,ウイルス特異的抗体を用いた蛍光抗体法 (FA) により,培養で発現したウイルス特異抗原を検出。 |
感染性のあるウイルスの検索が, ウイルス分離培養に較べ短時間で可能 |
| 酵素免疫法 (EIA) | ウイルス抗原と特異抗体を反応させ,酵素反応により検出。 特異抗体に直接酵素を標識して検出する直接法と二次抗体に酵素標識する間接法がある。 |
高感度 |
| 蛍光抗体法 (FA) | ウイルス抗原と特異抗体を反応させ,蛍光色素により検出。 特異抗体に直接蛍光物質を標識して検出する直接法と二次抗体に蛍光物質を標識する間接法がある。 |
特異性が高い |
| 遺伝子増幅法 (PCR) | 熱変性1本鎖DNAに目的のプライマー (特異的に増幅させたい領域の各DNA末端と相補的20~30塩基のDNA断片) を結合させ, DNAポリメラーゼによりDNA合成反応を行い,これを繰り返すことにより目的とするDNA配列を指数関数的に増幅。 |
高感度・特異性が高い |
| サザンブロットハイブリダイゼーション | 制限酵素で消化した検体DNAをアガロース電気泳動で分画,変性させた1本鎖DNAをメンブランに転写後, 標識プローブとハイブリダイゼーションさせ,目的遺伝子を検出。 |
DNAの量的,質的変化の異常を解析 |