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感染症NAVI

感染症検査の特徴

ウイルスの抗原検査

分離培養・同定法

生きたウイルス(感染性粒子)を感受性のある細胞や動物を用いて分離培養した後、ウイルスを同定します。

迅速法としてシェル・バイアル法が特定のウイルスで用いられています。

図

直接抗原検出法

ウイルス抗原検査法の原理と特徴を表にまとめました。

検査方法 原理 特徴
酵素免疫法(EIA) ウイルス抗原と特異抗体を反応させ、酵素反応により検出。特異抗体に直接酵素を標識して検出する直接法と二次抗体に酵素標識する間接法がある。 高感度
蛍光抗体法(FA) ウイルス抗原と特異抗体を反応させ、蛍光色素により検出。特異抗体に直接蛍光物質を標識して検出する直接法と二次抗体に蛍光物質を標識する間接法がある。 特異性が高い
遺伝子増幅法(PCR) 熱変性1本鎖DNAに目的のプライマー(特異的に増幅させたい領域の各DNA末端と相補的20〜30塩基のDNA断片)を結合させ、DNAポリメラーゼによりDNA合成反応を行い、これを繰返す事により目的とするDNA配列を指数関数的に増幅。 高感度・特異性が高い
サザンブロットハイブリダイゼーション 制限酵素で消化した検体DNAをアガロース電気泳動で分画、変性させた1本鎖DNAをメンブランに転写後、標識プローブとハイブリダイゼーションさせ、目的遺伝子を検出。 DNAの量的、質的変化の異常を解析
液相(核酸)ハイブリダイゼーション 液相中で検体を溶菌処理し、遊離したrRNAと標識プローブをハイブリダイゼーションさせ、形成した2本鎖ハイブリッドを分離、目的遺伝子を検出。 病原体のrRNAを標的とし、直接菌体を検出
in situ ハイブリダイゼーション スライドグラス上で、細胞や染色体のDNA、あるいはrRNAと標識プローブをハイブリダイゼーションさせ、顕微鏡下で検出。 ウイルス感染細胞の確認・目的遺伝子の局在性を証明

検査材料採取時期

臨床症状との関連性を考えあわせ、原則として初診時に好適部位より最適材料を採取します。採取時期が遅れると、抗体が産生されるためウイルスが中和され、分離しにくくなります。

グラフ

検査材料

ウイルス感染症の場合、ウイルスが排出される時期は非常に短いとされています。また、排出される量、期間は検査材料やウイルスの種類によっても異なるため、適切な分離材料と発病後できるだけ早期の検体採取が大切です。ウイルス分離の場合の材料の選択は、分離率向上のためにもできるかぎり複数の材料から行うのが有効です。

各疾患に関連するウイルス別にウイルス分離材料選択のめやすを表にまとめました。

PDFプレビュー
検査材料表 (PDFファイル833KB)

ウイルスの抗体検査

抗体検査法

ウイルス抗体検査の原理と特徴を表にまとめました。

検査方法 原理 特徴
補体結合反応(CF) 抗原抗体複合体と結合した補体を感作血球の不溶血を指標として間接的に証明。 ●群特異性が高い
●比較的早期に抗体消失
●感染スクリーニング用
赤血球凝集抑制反応(HI) 赤血球凝集能をもつウイルスの場合、その凝集を抑制する抗体を証明。 ●型特異性が高い
●早期に抗体が上昇、持続する
蛍光抗体法(FA) 感染細胞中のウイルスと抗体との反応を蛍光標識抗体で証明。 ●抗体分画が可能
中和反応(NT) 活性ウイルスを抗体により中和させ、感染防御抗体を証明。 ●型特異性が高い
酵素免疫法(EIA) 固相化したウイルス抗原と抗体を反応させ、酵素標識抗体との反応により証明。 ●抗体分画が可能
●定量的データ
●他法に比して高感度
受身赤血球凝集反応(PHA) 固相化赤血球にウイルスを吸着させ、これに抗体を反応させ、凝集の有無により証明。 ●高感度
受身(粒子)凝集反応(PA) 固相化ゼラチン粒子にウイルスを吸着させ、これに抗体を反応させ、凝集の有無により証明。 ●PHAに比し非特異的凝集が少ない
ウエスタンブロット法(WB) 転写膜に分画された抗原タンパクのバンドと特異的に反応する抗体を検出。 ●特異性が高い
●確認試験

検出抗体の性質


性質
動態 抗ウイルス
抗体活性
補体
結合能
胎盤
移行性
抗体 IgM 早期に産生されるが短期間で消失 + + -
IgG IgMに遅れて出現。漸減しながら長期間持続 + + +
IgA IgMより多少遅れて出現するがIgMより長期間検出可能 + - -

抗体価の解釈とペア血清検査の意義

グラフウイルス血清抗体価に正常値という概念はありません。ウイルス感染後に産生される抗体の検出は、過去にそのウイルスに感染したことを回顧的に示すだけで、現在の状態を必ずしも反映してはい ません。
ウイルス抗体は感染の直後に高く、以後下降するパターンを示しますが、単一の血清の抗体価の高低だけで近い過去に感染があったかどうかの判定は出来ない場合が多いといえます。
ウイルス感染後の抗体応答パターン、各検査法の特徴、検査意義を理解し、目的に応じた検査法を選択する必要があります。

急性期(発病後早期)と回復期(発病後14〜21日)のペア血清の抗体価が4倍以上上昇した場合有意と判断しそのウイルスの感染を推定します。ただし、治療にγグロブリンを投与した場合の抗体価の上昇は、必ずしも有意とは考えられません。

目的別検査法選択のめやす

検査法の特徴により目的に合った検査の選択が必要です。自然感染では感染初期に応答するIgM抗体の検出やペア血清による抗体上昇をみることが有用です。また、既往の有無やワクチンの効果判定にはEIAによるIgG抗体の検査が有用です。


自然感染 既往の有無 ワクチン効果判定
麻疹 CF、HI、NT、EIA(IgM)(IgG) HI、NT NT、EIA(IgG)
風疹 HI、EIA(IgM)(IgG) HI、EIA(IgG) HI、EIA(IgG)
ムンプス CF、HI、NT、EIA(IgM)(IgG) HI、NT、EIA(IgG) NT、EIA(IgG)
水痘 CF、EIA(IgM)(IgG) EIA(IgG) IAHA、EIA(IgG)
ポリオ
NT NT
日本脳炎 HI、CF HI HI
インフルエンザ CF、HI HI HI

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